Q & A

モネル合金インコネル合金などの高ニッケル合金を溶接する場合の注意事項を教えて下さい。

ニッケル及び高ニッケル合金のティグ・ミグ溶接について。

 ニッケル及び高ニッケル合金は、オーステナイト系ステンレス鋼では使用に耐えない塩酸、硫酸、フッ酸あるいは苛性ソーダなどの苛酷な雰囲気で使用される、各種反応搭、蒸留搭、熱交換器、圧力容器などの耐熱、耐食材料として使用されます。

 これらの高級材料は、使用条件が苛酷になるにつれ、種類が多くなるとともに用途も増大し、溶接施工法の研究開発も著しいものがあります。現在、これらの溶接には溶接部が高性能である必要性から、ティグ・ミグ溶接が好んで用いられています。

 ニッケル及び高ニッケル合金の溶接方法は、一般にステンレス鋼と同じように考えても良いと思いますが、特にブローホールの発生や割れに対して注意する必要があります。溶接施工にあたっては次の点に注意してください。

  1. 1.アーク長はできるだけ短く保つこと。
  2. 2.溶接速度は過度に上げないこと。又、一般にパス間温度を低く保ちます。
  3. 3.突合せ溶接では裏側が空気にふれブローホールが発生し易いため、裏当金を使用するか、裏面からもシールドガスを流して溶接します。
  4. 4.薄板溶接で溶加材を用いない場合には、特に割れに対して注意すること。

●異種金属の溶接における溶加材の選択(特殊電極製)
軟鋼 オーステナイト
ステンレス
インコネル ニッケル キュプロ
ニッケル
モネル T-NIB T-NIC T-NIC T-NIA T-NIA
M-NIB M-NIC M-NIC M-NIA M-NIA
ニッケル T-NIB T-NIB T-NIB T-NIB T-NIA
M-NIB M-NIB M-NIB M-NIB M-NIA
インコネル T-NIC T-NIC T-NIC T-NIB T-NIB
M-NIC M-NIC T-NIC M-NIB M-NIB
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