Q & A

鋳鉄の機械部品を溶接補修する場合、昔は赤くなるまで予熱をして共材で溶接補修をしていましたが、現在はニッケル系で冷間溶接補修に切換え簡単になり、たまに割れが入ることがあります。注意点を教えてください。

鋳鉄の冷間溶接

 鋳鉄の溶接で、現在もっとも代表的に施工が行われている“冷間溶接”について、良好な溶接結果を得るためのコツを説明します。

  • ◯鋳鉄の冷間溶接用溶接棒としては、SN、EN、FNを使用します。
  • ◯予熱は原則として必要ではありませんが、適当な予熱は鋳鉄の溶接には効果的です。  一般には150℃程度の予熱を行います。
  • ◯SN、ENを使用する場合の開先角度は70~80°とし、FNの場合は80~90°にします。  また厚い品物の場合は開先角度が40~60°で底面のRが4~6mm程度のU型開先をとります。
  • ◯溶接電流は、交流または直流正極性(棒マイナス)を使用します。
  • ◯溶接電流は、溶着金属の母材への溶込みおよび熱影響部を極少にするためにできるだけ低電流を使用します。
     しかし開先底部の溶接の場合はやや電流を強くして溶込み不足のないように注意します。
  • ◯溶接棒の保持角度は進行方向に対し45~60°に保持し、アークをできるだけ溶着金属上に出すように心がけます。
  • ◯アーク長はできるだけ短く保ちます。
  • ◯ビードはすべてストレートビードとし、ウィビングは極力避けます。
  • ◯連続溶接は避け、1回のビード長は50mm位にとめ、各ビード毎にピーニングを確実に行います。
  • ◯溶接法は、飛石溶接法または対称溶接法を採用し、溶接部の局部的な過熱を防止します。
  • ◯溶接途中で、ワレおよび気泡を発生した場合はその箇所を完全にハツり取って、改めて溶接を行います。
  • ◯亀裂部補修が大きい場合は、前記予熱とバタリング法、スタッド溶接、カスガイ埋込みなどを併用すれば効果的です。

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